【Xで炎上?】「ホッカイロの中身を作る工場」写真はデマなのか?作っていたのは鉄粉?木屑を燃やしていただけ?

 

2025年12月5日、写真家のtoshibo氏(@JIYUKENKYU_jp)が以下の文章と共にXに写真を投稿しました。

「寒くなると見せたくなるホッカイロの中身を作ってる工場の写真です。
ホッカイロの中身が、このような凄まじい環境で作られている事はあまり知られていない」

 

その写真は、真っ黒なススや粉塵が舞い、まるで火事現場かファンタジー映画の地下世界のような、荒々しくも迫力のある工場の風景でした。

 

 

なぜ「デマ」と言われたのか?

HIKAWA
このXの投稿はかなり話題になったけど「デマじゃない?」って叩かれてるよね。

 

この投稿が拡散されると、賞賛の声と共に、「これはデマだ」「嘘をつくな」という批判的な声や、情報の正確性を疑う「コミュニティノート」が付く事態となりました。

なぜ多くの人がこれを「嘘」だと思ったのでしょうか?理由は主に2つあります。

 

 

公式HPの「クリーンな工場」とのギャップ

批判側の多くが根拠としたのが、大手カイロメーカーが公開している「製造工程」のページです。

そこには、衛生管理が行き届き、白衣を着たスタッフが作業し、タンクで原料を混ぜ合わせる清潔で近代的なラインが写っています。

  • みんなのイメージ: 薬局で売っている衛生的な商品を作る工場=白くて綺麗。

  • 投稿された写真: 鉄粉まみれで黒く、炎のような熱気がある場所。

このギャップがあまりに激しかったため、「こんな汚い場所であの清潔なカイロを作っているわけがない」というバイアスがかかってしまったのです。

 

 

「中身」という言葉の解釈

toshibo氏は「中身を作っている」と書きました。

しかし、これを見た多くの人は「中身=製品としてパッケージされる直前の混合粉末」あるいは「カイロそのものの組み立て工程」だと解釈しました。

その結果、「カイロの工場はISO9001(品質マネジメントシステム)を取得しているはずだ。こんな環境はありえない」という否定が相次ぎました。

 

 

あれは「何の」工場だったのか

HIKAWA
では、あの凄まじい写真は一体何だったのでしょうか?

 

 

2022年に投稿されたまったく別の方のポスト(Saho.氏)や有識者の見解を総合すると、あの写真は「使い捨てカイロの主成分である『鉄粉』や『活性炭』そのものを製造・加工している現場」である可能性が極めて高いです。

使い捨てカイロが温まる仕組みは、「鉄が酸化して錆びる際に出る熱」を利用しています。

カイロの主原料は「鉄粉」です。

 

鉄粉を作るには、鉄を溶かしたり、砕いたり、ふるいにかけたりする必要があります。

これには「炉」などの設備が必要で、当然ながら現場は鉄粉や粉塵が舞う過酷な環境になります。

 

つまり…

  1. 写真の工場: 原料となる「鉄粉」を作る場所。とてつもなくハードな環境。

  2. 公式HPの工場: その「鉄粉」や「塩」「水」「吸水性樹脂」を仕入れて、混ぜ合わせて袋詰めする場所。とてもクリーンな環境。

この「工程の違い」が、今回の誤解の正体です。

toshibo氏は「(カイロの)中身(となる鉄粉)を作っている」という意図で投稿しましたが、受け手は「カイロ(製品そのもの)を作っている」と受け取ってしまったのです。

 

 

同行者から撮影時の様子が提示される

HIKAWA
「生成AIだったり、他の人の画像をパクってきたんじゃないの?」

 

そう疑う声に対して、決定的な反証が出てきました。

投稿者のtoshibo氏と、撮影に同行していたSKYFISH氏(@drone_skyfish)は以下のように証言しています。

 

 

 

  1. 現地での聞き取り: 撮影当時、現場にいた作業員の方から直接「ホッカイロの中身を作っているんだよ」と説明を受けた(実話である)。

  2. 公式HPとの一致: 「この写真に写っている作業員の方と同じ人物が、桐灰小林製薬の公式サイトに掲載されている」という情報です。

もしこれが事実であれば、この「凄まじい環境の工場」は、大手の公式サプライチェーン(供給網)の一部として、あるいは協力工場として、メーカー側も公認している正規の現場ということになります。

「公式HPのクリーンな写真」と「Xのハードな写真」は、矛盾するものではなく、同じ製品が出来上がるまでの「別の側面」を映しただけだったのです。

 

 

まとめ

今回の騒動は、私たちが普段手にしている「清潔で便利な製品」が、実はどのような泥臭い、あるいは過酷な労働環境を経て作られているかを、あまりにも知らなすぎたために起こりました。

  • 投稿者の主張: 「中身(原料)」を作る現場の凄まじさを伝えたかった。(事実)

  • 批判者の主張: カイロ工場(最終工程)はもっと綺麗だ。(事実)

双方が「事実」を語っているのに、見ている工程がズレていたために「デマだ」という悲しいレッテル貼りが起きてしまいました。

 

  • 写真はデマではありません。

  • カイロの発熱源である「鉄粉」などを製造・加工する工程写真です。

  • 現地取材に基づいた情報であり、登場人物が公式情報ともリンクしています。

真っ白なカイロの袋の中には、あの写真のような、顔を煤で真っ黒にして働く職人さんたちが作った「鉄粉」が入っています。

寒い冬、私たちが暖を取れるのは、あの過酷な環境で働いている方々のおかげです。

「デマだ」と切り捨てる前に、「私たちの手元に届く前に、どんな工程があるんだろう?」と想像力を働かせること。そ

れが、この騒動から私たちが学ぶべき一番大切なことではないでしょうか。