SNSや掲示板で話題となっている、にじさんじ所属の人気ユニット「めちゃつえー」によるKアリーナ横浜ライブをめぐる批判についてまとめました。
今回のライブは同期8人が大集結した記念すべき大舞台でした。しかし終演後、出演者たちの言動やパフォーマンスが次々と槍玉に挙げられています。今回は、些細な言葉がなぜ叩かれてしまったのか、そしてどのように粗探しが行われ、ファン同士の叩き合いへと発展したのかを解説していきます。
メンバーの発言と揚げ足取り
批判の大きな発端となったのは、ライバーたちが口にした何気ない一言に対する過剰な追及でした。佐伯イッテツさんは本番約12時間前の配信で、大舞台を目前にした極度の緊張を和らげるために「あと12時間後にはバイトしに行かないといけない感覚」と表現しました。しかしこれに対し、「高いチケット代を払って心待ちにしていたファンを軽視している」「ただのアルバイト感覚で義務的にステージに立っているのか」と、プロ意識の欠如を責め立てられました。
星導ショウさんはMC中に配信活動を「雑談を1時間消費しないといけない」と比喩したことで、「ファンとのコミュニケーションを単なる作業やノルマとして処理しているのか」と反感を買いました。小柳ロウさんは、初めての有観客ライブを終えて感極まり涙ぐむ同期メンバーに対し、湿っぽくなった空気を茶化して「そういうノリ?」「そっち系ですか?」とツッコミを入れました。照れ隠しの冗談であったにもかかわらず、「本気で感動している仲間の気持ちをバカにして冷笑した」と非難されました。
伊波ライさんはチケットが落選して来られなかったファンを思いやり、「田角社長にもっとデカいところでライブしましょうって言いました」と発言しました。しかし、「国内最大級の音楽専用アリーナに初のユニットライブで立たせてもらっている身でありながら、会場に不満を漏らして傲慢である」「先輩たちが積み上げてきた歴史へのリスペクトがない」と叩かれる結果となりました。
いずれの発言も、本人の置かれた状況や前後の文脈を見れば、悪意や怠慢から出た言葉ではないことは明らかです。しかし、ネット上では言葉の表面だけが切り取られ、最悪のニュアンスに変換されて拡散されてしまいました。演者側が緊張や照れから見せた人間味のあるリアクションが、ファン側の高すぎる理想と衝突し、言葉の揚げ足取りとして過熱してしまったと指摘されています。
8人合同だからこその粗探し
同期8人が同じステージに立ったことで、パフォーマンスや演出のあらゆる要素が比較対象となり、どう転んでも叩かれる理不尽な粗探しが繰り広げられました。
象徴的だったのが生歌と事前収録音源をめぐる議論です。生歌で挑んだメンバーに対しては、「ピッチが外れている」「声量がない」「息切れが酷い」と技術的な粗探しが執拗に行われました。その一方で、パフォーマンスの安定のために音源を使用したメンバーに対しては、「口パクで手抜きをしている」「大して踊ってもいないのに楽をしている」「生歌で頑張ったメンバーに失礼だ」と批判が集中しました。生歌を選べば実力不足と叩かれ、音源を使えば誠意がないと叩かれるという、逃げ場のない減点方式の評価が下されることになりました。
演出面でも同様の批判が起きています。星導ショウさんだけに上着を脱ぐ3D衣装差分が披露されたことに対し、他のメンバーのファンから「なぜ1人だけ優遇されるのか」「同じチケット代を払っているのに不公平だ」と不満が噴出しました。さらに、佐伯イッテツさんがソロで格闘ゲームの楽曲を歌った際も、公式タイアップ案件であったことから、「普段そこまでやり込んでいないのにキャラクターを私物化している」「もっとプレイしている同期がいるのに贔屓されている」と攻撃の対象にされました。
本来であれば各自の個性や工夫として受け止められるはずのステージが、合同ライブという環境によって優遇と不遇の格差問題へとすり替えられてしまいました。自分の推しを引き立てたいあまり、他メンバーの演出やパフォーマンスの粗を探して叩き合う状況に対し、「純粋にライブの成功を喜べなくなっている」と危惧するファンも少なくありません。
ファンのマナー問題
ステージ上での振る舞いだけでなく、客席の応援マナーやファン層同士のスタンスの違いも激しい対立を生みました。
ステージ上でメンバー同士が肩を組んだり抱き合ったりするスキンシップに対し、コンビ推しや関係性を好むファンが歓喜する一方で、純粋に歌やダンスを見に来た単推しのファンからは、「あからさまな媚びに見えて集中できない」と強い拒絶反応が示されました。さらに、客席のマナー違反が特定のライバー叩きへと直結する事態も発生しました。曲の合間や静寂の瞬間に、伊波ライさんの名前を甲高い大声で叫び続ける観客が目立ち、配信音声にまで入り込んだことや、他のメンバーのソロパート中にも推しカラーのペンライトを点灯し続けたことに対し、「あのライバーのファンは民度が低すぎる」と周囲の怒りが爆発しました。そして、その不満の矛先はマナー違反者個人にとどまらず、そうしたファンを野放しにしているライバー本人へと向けられていきました。
応援スタイルの異なるファン同士が同じ空間に集まったことで、日頃から抱えていたお互いへの苛立ちが一気に表面化してしまいました。客席での一部の迷惑行為が、演者本人の人間性やステージの完成度に対する批判にまで飛び火してしまい、泥沼の非難合戦へと発展していると不安視する声が上がっています。
日常的なファン同士の叩き合い
今回の一連の騒動は、決してライブ当日の出来事だけで突発的に起きたものではありません。根底には、日頃から匿名掲示板やSNS上で繰り返されてきた、メンバー同士のファンによる激しい叩き合いの存在があります。普段の配信活動においても、誰の同接数が多いか、YouTubeの動画再生数は誰が勝っているか、チャンネル登録者の伸びやグッズの売れ行きはどう偏っているか、といった数字の比較が日常的に行われていました。少しでも案件に多く呼ばれたメンバーがいれば「運営のお気に入りだ」と叩かれ、数字が振るわないメンバーがいれば「足を引っ張っている」と嘲笑されるなど、お互いのファンが常に監視し合い、マウントを取り合う空気が長く続いていました。そうした普段からの鬱憤や対立関係が蓄積されていたところに、Kアリーナ横浜という最大の晴れ舞台が訪れたことで、火種が一気に大爆発を起こすことになりました。
日常的に行われていた粗探しや格差への不満が、大舞台という注目度の高い場で一気に表面化したに過ぎないという見方が広がっています。誰かが決定的な不祥事を起こしたわけではなく、普段から燻っていたファン同士の歪んだ競争意識や敵対心が、ライブのあらゆる要素を攻撃の武器として利用している状態に対し、界隈全体の健全さを心配する声も上がっています。
まとめ
- 演者側の緊張や照れ隠しによる言葉が、前後の文脈を無視されて揚げ足を取られてしまったこと。
- 生歌か収録か、衣装や案件の差など、何を選んでも批判される全方位からの粗探しが起きたこと。
- 普段から続いていたファン同士の数字比べや対立が、大舞台をきっかけに激化してしまったこと。
今回のライブをめぐる騒動の本質は、出演者たちの大きな失敗にあるのではなく、ファン同士の長年にわたる比較や対立という構造的な問題にあります。大舞台に対するファンの強い思い入れや、推しを一番に輝かせたいという執着があったからこそ、ちょっとした言動や扱いの差に過敏になり、他メンバーを減点方式で攻撃する空気が作られてしまいました。演者側には大勢の視線が集まる場にふさわしい慎重な言葉選びが求められますが、それ以上に、受け取る側のファンも普段からの不毛なマウント合戦や粗探しをやめ、全員で作り上げたステージの成果を公平に受け止めていく姿勢が必要なのかもしれません。


