ゲーム配信者が、雑談をしながらUber Eatsで食事を注文する。
今や当たり前の光景になりましたが、「あれって住所が特定されるんじゃないの?」とヒヤリとした経験はありませんか。
便利なサービスである一方、配信中の利用には大きなリスクが伴います。
今回は、配信における住所や個人の特定に繋がりかねない、意外な危険性について解説します。
Uber Eatsの注文は、配達員の善意に頼った綱渡り
結論から言うと、配信中のUber Eatsの注文は、住所特定のリスクが非常に高い行為です。
もし、注文を届けに来た配達員が、その配信をリアルタイムで見ている熱心な視聴者だったらどうでしょうか。
配信者が「ウーバー頼んだので、ちょっと待ちますね」と発言し、その直後に配達員がインターホンを鳴らせば、その家が配信者の自宅であることは疑いようもありません。
「でも、人気配信者が住所を特定されたというニュースはあまり聞かない」と思うかもしれません。
それは、ほとんどの配達員が職業倫理と良識を持ち合わせているからです。
有名人の家に荷物を届けても、それをネット上で言いふらすようなことはしません。
しかし、それはあくまで配達員の「善意」に支えられているだけの状態です。
万が一、悪意を持った人物が配達員だった場合のリスクは計り知れません。
救急車のサイレン、一度だけでは特定されない
防音設備が整っていない部屋で配信していると、外を走る救急車のサイレンが入り込んでしまうことがあります。
「この音で家がバレるのでは?」と心配になるかもしれませんが、一度や二度の音だけで正確な場所を特定するのは、ほぼ不可能です。
しかし、ここにも「情報の蓄積」という危険が潜んでいます。
例えば、配信者の近所に住んでいる視聴者がいたとします。
その人が「あれ、今うちの近くでもサイレンが聞こえるな」と感じ、数ヶ月後にもまた同じタイミングで配信の内と外でサイレンが聞こえたらどうでしょうか。
一つ一つの情報は些細な偶然でも、それらが何度も重なることで「この配信者は、自分のかなり近所に住んでいる」という確信に変わっていきます。
配信時間に幅があるため、リアルタイムの音と配信上の音には数秒から数十秒のタイムラグがありますが、何度も繰り返されれば、その誤差は意味をなさなくなります。
個人の特定は、たった一つの決定的情報から行われるとは限りません。
長期間にわたる小さな情報の積み重ねによって、じわじわと生活圏が絞られていくケースもあるのです。
こんな「外の音」も特定の手がかりになる
救急車の他にも、配信に入り込むと個人情報の特定に繋がりかねない「生活音」は数多く存在します。
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選挙カーのアナウンス
立候補者の名前が聞こえれば、どの選挙区に住んでいるのかが一瞬で判明してしまいます。 -
防災無線のアナウンス
「光化学スモッグ情報」や地震速報など、自治体単位で放送される内容は、地域を特定する強力な手がかりとなります。 -
夕方17時のチャイム
一部の地域では、夕方に音楽が流れます。この選曲は自治体ごとに異なるため、曲名が分かれば、どの市町村に住んでいるのかが絞り込まれてしまいます。
何気ない日常の音が、配信者にとっては大きなリスクになり得ることを、常に意識しておく必要があるでしょう。