【ホロライブ】なぜ卒業が多くなってきているのか?「仕事量が多い」状況が改善されない企業的な理由とは?

 

2025年に入り、ホロライブで続く卒業ラッシュ。SNSではファンからの悲痛な叫びや、運営に対する怒りの声が絶えません。

「業務改善をすると言っているのに、なぜ一向に改善されないのか?」
「単純に仕事量を減らすことが、なぜそんなに難しいのか?」

多くのファンが抱くこの疑問。実は、そこには単なる「ブラック企業体質」という言葉だけでは片付けられない、カバー株式会社特有の理由が存在しています。

 

ホロライブは「普通の芸能事務所」ではない

HIKAWA
ホロライブってお笑い芸人や女性タレントが所属している事務所と構造的には同じ、Vtuber専門の芸能事務所ってことなの?

 

まず、多くの人が誤解しているのがここです。

多くの人はホロライブを吉本興業やホリプロのような「芸能事務所」だと思っていますが、ビジネスのお金の掛かり方が根本的に異なります。

  • 一般的な芸能事務所

    • テレビ収録ならスタジオやカメラは「テレビ局」のもの。

    • ライブなら音響や照明は「外部業者」に委託。

    • 事務所自体は「マネジメント会社」です。

一般的な芸能事務所の出費は、「タレントの宣伝費」や「交通費」などが主です。社員数も最低限で、人件費も一般的な金額でしょう。

一方でホロライブは…

  • ホロライブ(カバー株式会社)

    • 所属Vtuber(タレント)をマネジメントする業務を行っている。
    • 業界トップクラスの3Dスタジオを「自社で」建設・保有し、3Dや映像に関する技術スタッフも社員として雇っている。

    • 「ホロアース」というゲームを運営している。

つまり、ホロライブはタレントを抱えると同時に、設備維持に莫大なお金がかかる高コスト体質の企業と言えます。

一般的な芸能事務所とは違い、スタジオの維持費や技術スタッフの人件費といった「固定費」が毎月巨額に発生しているわけです。

 

 

タレント1人が「9人の社員」を食わせなければならない

HIKAWA
普通の芸能事務所とは違い「出費が多い」から、普通の何倍も所属Vtuberたちを働かせて稼がなきゃいけないってこと?

 

今回の問題の核心はここにあります。

ネット上の議論でも指摘されていますが、ホロライブは「タレント1人あたりが支えなければならない社員数」が異常に多いのです。

 

比較対象としてよく挙げられる「にじさんじ」の場合、タレント1人に対して社員は約3人程度と言われています。

しかしホロライブの場合、タレント1人に対して社員は約9〜10人という説があります。

 

支えているのはマネージャーだけではない

一般的な芸能事務所の社員は、タレントの世話をするマネージャーや営業です。

しかし、ホロライブで大量に雇われている社員の多くは、エンジニア、プログラマー、3Dモデラーといった「技術職」です。

しかし、技術スタッフは何かを自分で売って稼ぐということができません。

所属Vtuberが配信やイベントなどで稼いできてくれなければ、技術スタッフは給料をもらうことができません。

 

 

 赤字事業「ホロアース」の重荷

さらに会社は「ホロアース(メタバース事業)」のような、現在はまだ利益を生まない巨大プロジェクトを進めています。

この開発費は年間数億円〜数十億円規模。この莫大な赤字を穴埋めしていかなければいけない状況だと言われています。

 

「タレントが仕事を減らす」=「開発費がショートし、数百人の社員の給料が払えなくなる」

 

ホロライブのタレントは、自分の生活費を稼ぐだけでなく、背後にいる巨大な技術組織と将来の投資費用まで、少人数で背負わされているのです。

これが「簡単に仕事を減らせない」最大の理由です。

 

 

なぜ「今すぐ」改善できないのか?

HIKAWA
これだけ卒業者が出ているのだから、今の異常な仕事量を止めるべきでは?

 

と思いますよね。しかし、ここにも企業特有のタイムラグがあります。

  • 1年単位のプロジェクト:
    ライブや大型案件は、1年前から動いています。今「つらい」と言っても、既に走り出した巨大プロジェクト(会場予約済み、グッズ制作済み)は急には止められません。

  • 代わりがいない:
    会社員なら誰かが休んでも同僚がカバーできますが、VTuberは「その人の声と魂」でなければ成立しません。

  • 仕事の偏り:
    人気メンバーが仕事を断れば、その仕事は消滅せず、断れない中堅メンバーや若手にスライドするだけ。組織全体の負担は減りません。

 

結局は、多額の出費を少人数の所属Vtuberで賄うためには、やめたくなるほどの激務をしなければいけない自転車操業のような状態になってしまっているのです。

 

 

まとめ

厳しい見方をすれば、現在のホロライブの経営構造は、タレント活動を「自社の技術開発のための資金調達手段」にしていると言わざるを得ません。

一般的な芸能事務所が「タレントを売ること」をゴールにしているのに対し、ホロライブは「タレントの売上で、技術やプラットフォームを作ること」をゴールにしている節があります。

  • 異常なまでに肥大化した社員数と固定費

  • 利益度外視の先行投資(ホロアース等)

  • それを支える、ごく少数のタレントたち

この「逆ピラミッドのような構造」が解消されない限り、いくら口先で「業務改善」を叫んだとしても、タレントにかかる物理的な負担が減ることは難しいでしょう。

2025年、会社がこの「過剰な投資・拡大路線」を見直し、タレントファーストに舵を切れるかどうか。

それがこれ以上の卒業を防ぐ唯一の鍵になるはずです。