「あ、そっちじゃない!」
「なんでそのスキルを使わないんだ…!」
好きなVtuberや配信者のゲーム実況を見ていると、思わず口から出てしまいそうになる言葉。
そして、その気持ちのままにコメントを書き込んでしまい、後から「もしかして、今のって『指示厨』だった…?」と不安になった経験はありませんか?
配信を盛り上げたい、推しに最高の体験をしてほしい。
そんな善意からくるコメントが、実は配信者や他の視聴者の楽しみを奪っているかもしれません。
この記事では、誰が見てもアウトな「確定クロな指示厨コメント」と、善意からくるがゆえに判断が難しい「グレーゾーンなコメント」について、具体的な例を交えながらその境界線を探っていきます。
これはアウト!「確定クロ」な指示厨コメント集
まずは、言い逃れのできない典型的な指示厨コメントです。
これらの根底にあるのは「自分の思い通りにゲームを進めさせたい」という欲求。
配信の主役が誰なのか、見失ってしまっている状態です。
1. 行動の命令・指図 型
配信者のプレイスタイルを完全に無視し、自分の望む行動を直接的に命令する、最も分かりやすい指示です。
「そこは回避じゃなくてパリィして」「早く回復しないと死ぬよ」「その敵は無視して先に進んで」「スキル使って!温存する意味ないよ」
これらのコメントは、配信者が試行錯誤する楽しみや、自分なりの攻略法を見つける喜びを根本から奪ってしまいます。
2. プレイスタイルの否定・強制 型
直接的な命令ではありませんが、「あなたのやり方は間違っている」と断定し、自分の価値観を押し付けるタイプの指示です。
「なんでその武器使ってるの?もっと強いのあるのに」「その戦い方だと効率悪いよ」「普通はもっとレベル上げてから来るんだけどな」「アイテム使いすぎ。後で詰むよ」
「普通は」「効率」といった言葉は要注意。
ゲームの楽しみ方は人それぞれであり、寄り道や非効率なプレイもまた、その人だけの物語の一部です。
3. ネタバレ・攻略情報 型
最も罪深い指示と言っても過言ではありません。
まだ誰も知らない情報を「良かれと思って」提供し、配信者と他の初見リスナーの新鮮な驚きを奪い去ります。
「そのキャラは後で裏切るから信用しちゃダメ」「この先のボスは炎が弱点です」「その壁、隠し通路になってるよ」
たとえ配信者が苦戦していても、求められていないヒントはただのネタバレであり、最大の指示コメントです。
善意のつもりが…判断に迷う「グレーゾーン」なコメント
ここからが本題です。
コメントしている本人に悪気はなく、むしろ「配信を良くしたい」「推しを助けたい」という気持ちから生まれるものの、受け取り方によっては「指示」や「プレッシャー」になりかねない、繊細なコメントたちです。
1. 「匂わせ・誘導」型
「ネタバレはダメ」と理解している人が、ギリギリのラインを攻めてしまいがちなコメント。
重要な場面を見逃してほしくない、という気持ちから生まれます。
「ここ、重要なシーンだから見逃さないで!」「コメント読んでないで画面に集中!」「その選択、今後の展開に大きく影響するよ…」「何かありそうな場所だな…(意味深)」
これらのコメントは、純粋な初見のリアクションを奪ってしまいます。
「何かある」と身構えさせてしまう時点で、それはもう自然な体験ではありません。
「コメントを読むか、ゲームに集中するか」を決めるのも配信者本人です。
視聴者がその行動をコントロールしようとするのは、やはり指示に近い行為と言えるでしょう。
2. 「心配・気遣い」型
長時間配信など、配信者の体調を気遣うコメント。
一見すると優しさの塊ですが、これも時と場合によります。
「そろそろ休憩したら?」「あんまり無理しないでね」「ちゃんと水分補給して!」「キリもいいし、今日はこの辺で終わったら?」
もちろん、本当に心配な気持ちから出る優しいコメントです。
しかし、これが多すぎたり、配信者が集中している場面で何度も書き込まれたりすると、「配信のペースを管理しようとしている」「親やマネージャー気取りか?」と捉えかねられません。
配信者は自分のペースを理解して配信しています。
過度な心配は、かえってプレッシャーになることもあるのです。
3. 「行動を促す応援」型
純粋な応援と、行動を促す指示との境界線にあるコメントです。
ボス戦などで苦戦している時に見られます。
- 純粋な応援(OK):
「頑張れー!」「いける!」「ナイス!」 - グレーゾーン:
「落ち着いて!」「集中!集中!」「思い出せ!あの時の経験を!」
「頑張れ」が感情の共有であるのに対し、「落ち着いて」「集中して」は配信者の内面的な状態をコントロールしようとする言葉です。
もちろん応援の意図が強いのですが、「落ち着けって言われても…!」と、逆に焦らせてしまう可能性も秘めています。
「指示」と「助言」を分けるたった一つのこと
では、どうすれば良いのでしょうか。
その答えはシンプルです。
「配信者が助けを求めているか?」
これだけです。
配信者が「これどうやるの?誰かヒントください!」「みんなどっちがいいと思う?」とコメントに助けを求めた時、あなたの知識は初めて「指示」ではなく「最高の助言」に変わります。
それ以外の場合は、たとえ配信者が沼にはまっていても、同じ場所をぐるぐるしていても、グッとこらえて見守るのが最高の応援です。
その試行錯誤の過程こそが、ライブ配信の醍醐味なのですから。
まとめ
- 確定クロな指示: 命令、否定、ネタバレは誰が見てもアウト。
- グレーゾーンな指示: 匂わせ、過度な心配、行動を促す応援は、善意からでも相手にプレッシャーを与える可能性あり。
配信の主役は、あくまで配信者本人です。
私たちは、その人が紡ぐ一度きりの物語を一緒に楽しむ「同行者」であり、物語の行き先を決める「監督」ではありません。
自分のコメントがどちらの立場から発せられたものか、送信ボタンを押す前に一度だけ考えてみる。
それだけで、あなたも推しも、そして周りのリスナーも、もっと配信を楽しめるようになるはずです。