「ネットで動画や画像を見ているとき、サイト運営者は自分のことをどこまで知っているんだろう?」
「まさか、名前や住所まで特定されてるんじゃ……?」
インターネットを使っていると、ふとそんな不安に駆られることはありませんか?特に、少し際どいサイトや、普段見ないジャンルの動画を見た時などは気になりますよね。
今回は、「ネット閲覧だけで個人の特定はされるのか?」「サイト運営者はどこまで把握しているのか?」という疑問について解説します。
名前や住所はすぐにはバレない
まず結論から言うと、動画や画像をただ閲覧しただけでサイト運営者にあなたの「氏名」や「住所」が即座に通知されることはありません。
しかし、「どこから、どんな端末でアクセスしているか」という情報はデータとして残り、知られてしまいます。
サイト運営者や外部の人間が把握できる情報は、以下の3段階のレベルに分かれます。
レベル1:サイト運営者が確実に把握できる情報
あなたがサイトにアクセスした瞬間、サイト側のサーバーには以下の情報がログ(記録)として自動的に保存されています。これはハッキングなどではなく、インターネットの基本的な仕組みです。
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IPアドレス(ネット上の住所): あなたが「どの地域の、どのプロバイダ(ドコモ、au、ソフトバンクなど)」を使っているかが分かります。
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使用端末とブラウザ: iPhoneなのかAndroidなのか、PCなのか。Chromeを使っているかSafariなのか等が分かります。
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行動履歴: 何時にアクセスし、どのページを何分見て、どのボタンをクリックしたか。
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リファラ(参照元): Google検索から来たのか、Twitterのリンクから飛んできたのか。
サイトにアクセスすると、サイト運営者は「東京都在住で、iPhoneを使ってソフトバンク回線からアクセスしている誰かが、この動画を最後まで見た」ということは分かります。
しかし、この段階では「それが具体的に誰なのか?」までは分かりません。
ですので、基本的にはサイト運営者は個人を特定することはできません。
レベル2:個人を特定できるケース
特定の条件下では、単なる「誰か」ではなく「特定のユーザー」として認識されます。
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会員ログインしている場合
YouTubeやInstagram、ニコニコ動画などにログイン状態で視聴していれば、当然ながら運営側は「アカウント名:〇〇さん」が見ていると特定できます。
当たり前といえば当たり前な話ですが、有料会員などになっていれば、その時に個人情報を入力しているので「このアクセスは、この人のものだな」ということはサイト運営者は調べることができます。
逆に言えば、会員登録などをしていなければ個人を特定することはできません。
レベル3:法的手続きで氏名や住所まで完全に特定される
では、どういう時に「本名」や「住所」まで特定されるのでしょうか?
それは、法的な手続き(発信者情報開示請求)が行われた場合です。
もし閲覧者が以下のような行動をとった場合、サイト運営者は弁護士などを通じて特定に動くことがあります。
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誹謗中傷コメントを書き込んだ
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違法なファイルをアップロードした
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サイトに対して攻撃(ハッキング行為など)を行った
以上のようなことが起こると、法的手続きで警察や裁判所が動き、アクセス情報から個人を特定することができます。
個人を特定する流れは以下のようになります。
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サイト運営者が「IPアドレス」を元に、使われたプロバイダを特定。
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裁判所などを通じて、プロバイダへ「この時間にこのIPを使っていた人の情報を出せ」と請求。
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プロバイダが契約者情報(氏名・住所)を開示。
法律上、このような手続きを踏まないと個人の特定はできません。
つまり、警察や弁護士が介入するようなトラブルを起こさない限り、サイト運営者が勝手にあなたの個人情報を抜くことはできません。
シークレットモードならバレない?
ブラウザの「シークレットモード(プライベートブラウズ)」を使えば安心だと思っていませんか?
実はこれ、「あなたのスマホやPCに履歴を残さない」だけで、サイト運営者側にはIPアドレスなどの情報は筒抜けです。
「家族に履歴を見られたくない」という場合には有効ですが、サイト側からの特定を防ぐ効果はほとんどないので注意しましょう。
コメント欄で喧嘩した相手から「住所を特定した」と言われた
ここまで説明した通り、相手があなたの住所を知るためには、まずあなたの「IPアドレス」を知る必要があります。しかし、YouTubeの仕組み上、一般の視聴者が他人のIPアドレスを知ることは絶対にできません。
仮に一般視聴者が「他のユーザーの情報を知る」ためには、YouTubeのサーバーに不正侵入(ハッキング)して情報を盗み出す必要があります。そしてそこから住所を特定するためには開示請求をしなければいけませんが、単なる口喧嘩程度では、法的に開示請求が認められることはありません。
ですので、今回の質問でいえば、相手はあなたの住所を特定することは不可能です。
ネット上の喧嘩で「特定した」「IP抜いた」と言う人は、昔から非常に多いですが、そのほとんどは相手を怖がらせて黙らせるための脅し文句です。
もし本当に特定できる技術や法的手段を持っている人は、わざわざコメント欄で「特定したぞ」と警告せず、いきなり内容証明郵便を送るなどの法的アクションを起こします。
コメントで騒いでいる時点で、口先だけである証拠です。
まとめ
普通に動画や画像を楽しんでいる分には、過度に「特定されるかも!」と怯える必要はありません。
しかし、インターネット上には「いつ、誰が、何を見たか」というデジタルな足跡が確実に残っていることだけは、常に頭の片隅に置いておくのが賢明です。
悪いことはしないようにしましょう。