「切り抜きを始めたいけれど、どこまでが許されるのか境界線が曖昧」「歌枠を切り抜いたら権利侵害になるの?」という疑問に対し、公式ガイドラインや著作権法の観点から、なぜそのルールが存在するのかという仕組みと安全な運用方法を解説します。
切り抜き動画における「創作性」と編集の絶対条件
切り抜き動画を作成する際、最も注意しなければならないのが「単なるコピー(転載)」と「二次創作」の違いです。システム上、および著作権法上の扱いが大きく異なります。
まず、数分間をただ切り取っただけの動画は、そこに編集者の意図や加工が含まれていないため、「創作性」が認められないただの部分コピーと見なされます。これは二次創作ではなく、著作権侵害(複製権の侵害)にあたる可能性が非常に高い状態です。
健全な切り抜き活動を行うためには、以下の編集プロセスが必須となります。
- 字幕(テロップ)や効果音を入れる
- 複数のシーンやカットを組み合わせる(構成を作る)
これにより、元の動画の著作権に加え、あなたの編集による「新たな著作権」が発生し、初めて二次創作物として成立します。
また、「他人の切り抜き動画をさらに切り抜く」行為は、元の配信者の権利に加え、その切り抜き作成者の権利も侵害することになるため、絶対に行ってはいけません。
事実に基づく編集をする
再生数を稼ぎたい心理は理解できますが、ここには明確な禁止事項が存在します。運営やライバーを守るための構造的なルールです。
事実と異なる演出の禁止
「推しをよく見せたい」「ドラマチックにしたい」という意図であっても、文脈を無視したつなぎ合わせや、事実と異なるシーンの挿入はNGです。また、タイトルに「世界を変えた」「○○が称賛」といった大げさな表現や嘘を含めることも禁止されています。
推測や憶測の排除
編集者の主観による「カップリング」や「不仲説」などの憶測を動画に織り込むことは、ライバーの活動を阻害し、名誉を傷つける恐れがあります。あくまで「事実に合わせて面白い部分を抽出する」ことが基本です。
歌枠の切り抜きが事実上困難である「権利の仕組み」
ここが最も誤解が生じやすい部分ですが、「ライバーが許可を得ている」ことと「切り抜き師が許可を得ている」ことは全く別の話です。
歌には、作詞・作曲・編曲など、複雑な著作権が付与されています。にじさんじのライバーは、配信を行う際にANYCOLOR社を通じて、あるいは包括契約によって楽曲使用の許諾を得ています。しかし、その許諾は「切り抜き動画作成者」には及ばないという法的・システム的な構造があります。
個別の許諾が必要
ガイドライン上、歌枠の切り抜き自体は禁止とは明記されていませんが、「皆様が自らの責任で権利者から許諾をとる必要がございます」と定められています。つまり、JASRACやレコード会社、作曲者本人に対し、あなたが個人で連絡を取り、許可を得なければなりません。
カラオケ音源(DAMなど)の壁
特にカラオケ配信などで使用される音源(DAMなど)は、音源の権利元によってインターネット上での二次利用(切り抜き)が厳しく制限されているケースが大半です。
リスクの所在
もし権利者から著作権侵害とされた場合、動画の削除だけでなく、謝罪や損害賠償といった責任を負うのは、ライバーではなく切り抜き投稿者本人です。「知らなかった」「みんなやっている」という言い訳は法的に通用しません。
これらのハードルの高さから、実質的に「歌枠の切り抜きはできない(避けるべき)」と判断するのが安全です。
まとめ
- 切り抜きには字幕や構成などの「創作性」が必須であり、ただのカットは複製権侵害になる。
- 歌枠の権利処理はライバーへの許可とは別物であり、投稿者自身が著作者全員の許諾を得る必要があるため極めて難易度が高い。
ルールや権利関係は厳しく感じられるかもしれませんが、これらはすべて「ライバー」と「あなた自身」を守るためのガードレールです。公式ガイドラインや概要欄のルールを正しく理解し、愛のある編集技術を加えることで、誰もが安心して楽しめる素晴らしいコンテンツを発信していきましょう。