VTuberの配信を見始めたばかりの方が最初に戸惑うのが、開始時間になっても本編が始まらず、BGMと静止画だけの時間が続くことではないでしょうか。
実はこれ、配信者の準備不足ではなく、リスナーを置いてきぼりにしないための「優しさ」と、インターネット配信特有の「システム上の仕組み」によるものなのです。
リスナー全員が「冒頭」を見逃さないための配慮
配信において「開始の挨拶」や「最初の話題」は非常に重要ですが、定刻ピッタリに本編を始めてしまうと、実は多くの人が冒頭を見逃してしまうリスクがあります。
YouTubeやTwitchなどのプラットフォームでは、配信を開いた瞬間に数秒〜数十秒の「広告」が流れる仕様になっていることが多々あります。
もし配信者が定刻0秒に挨拶を始めた場合、広告が流れている視聴者は「広告が終わったら既に挨拶が終わっていた」という悲しい状態になってしまいます。
また、通知が来てからアプリを開くまでのタイムラグも考慮されています。
「全員が席に着くまでの時間」として、あえて数分間のバッファ(待機時間)を設けることで、リスナー全員が足並みを揃えてスタートラインに立てるようにしているのです。
配信者の「時間的コスト」と自動化の都合
確かに手動で待機すればピッタリ開始できますが、これを毎日続けるのは、自営業である配信者にとって非常に大きな「見えないコスト」になります。
例えば、19時ジャストに手動で開始ボタンを押すためには、遅くとも30分前にはすべての作業を中断して画面の前で待機し、緊張状態を維持しなければなりません。この「何も生み出さない30分」は、個人事業主にとって痛手です。
そのため、多くの配信者は「設定した時間になったらシステムが自動で配信を開始する」という予約設定を使います。
「19時に自動で枠が開く」→「枠が開いたことを確認してから、配信者が最終準備をして声を出す」という手順を踏むため、どうしても数分のラグ(待機時間)が発生します。これは長期的に活動を続けるための効率化の一環でもあるのです。
ネット回線の「遅延」と映像チェックの仕組み
ライブ配信はテレビ放送とは異なり、膨大なデータをインターネット経由で世界中にバラ撒くため、必ず「遅延(ラグ)」が発生するという物理的な限界があります。
配信者が「スタート!」と喋っても、それがあなたの画面に届くまでには数秒から数十秒のタイムラグがあります。そのため、配信者は以下のプロセスを慎重に行っています。
- 配信ソフトの「配信開始」ボタンを押す。
- 実際のYouTube等の画面を開き、映像と音声が正常に乗っているか、遅延がどの程度かを自分で確認する(ここで数分かかる)。
- 問題がないことを確認してから、マイクをオンにして本編を開始する。
いきなり喋り始めて「音が入ってない!」「画面が真っ暗!」という事故を防ぐために、「放送は始まっているが、本人はまだ裏でチェック中」という時間が、あの「謎の待機時間」の正体です。つまり、安全運転のための点検時間だと考えてください。
まとめ
- 待機時間は「広告待ち」や「遅れてきた人」が冒頭を見逃さないための、映画館の予告編のような配慮。
- 配信者の負担を減らす「自動開始設定」や、事故を防ぐための「映像チェック」を行っているため、物理的に数分の間が必要。
あの待機時間は、決して無駄な時間ではなく、あなたと配信者が万全の状態で「こんにちは」と言い合うための大切な準備期間です。コメント欄で他のリスナーと挨拶を交わしたり、飲み物を用意したりして、ワクワク感を高めながら本編の開始を待ってみてくださいね。