「YouTubeに動画を投稿したら、見慣れない『著作権』というマークが表示された…」 「『一部の地域でブロックされました』って通知が来たけど、これって著作権侵害?もしかしてチャンネルが停止されちゃうの?」
動画投稿をされている方なら、一度はこんな経験をしてヒヤッとしたことがあるかもしれません。
なんだか物々しい警告に見えて、不安になってしまいますよね。
しかし、ご安心ください。
その通知は、多くの場合、あなたが思っているような深刻な「著作権侵害」を意味するものではありません。
この記事では、YouTubeの著作権通知の正体から、なぜ特定の国だけでブロックされるのかという疑問、そしてあなたが今すぐ取るべき具体的な対処法まで、どこよりも分かりやすく解説していきます。
この記事を読み終える頃には、著作権通知への漠然とした不安は消え、冷静に対処できるようになっているはずです。
その警告、本当にヤバいやつ?「Content ID」と「著作権侵害の警告」は全くの別物!
まず、最も重要なことからお伝えします。YouTubeで表示される「著作権」に関する通知には、大きく分けて2種類あり、その深刻度は天と地ほど違います。
- Content ID の申し立て(今回、おそらくあなたに来た通知)
- 著作権侵害の警告(ストライク)(こちらが本当に危険なもの)
この2つの違いを理解することが、不要な不安を取り除くための第一歩です。
「Content ID の申し立て」とは?
これは、YouTubeが導入している著作物の自動管理システムによる通知です。
あなたが動画をアップロードすると、YouTubeのシステムが動画内の映像や音楽をスキャンし、著作権者が事前に登録しておいた膨大なデータベースと照合します。
そして、「あ、この動画で使われているBGMは、〇〇レコード会社が登録したものと一致しますね」と機械が自動的に判断し、著作権者に「あなたのコンテンツが使われていますよ」とお知らせすると同時に、投稿者であるあなたにも通知します。
これは、あくまで「あなたの動画内で、登録された著作物が使われていることを検出しました」という事務的なお知らせです。
そのため、基本的にはあなたのチャンネルにペナルティが科されることはありません。
「著作権侵害の警告(ストライク)」とは?
一方、こちらは全く意味合いが異なります。
これは、著作権者本人が「私の著作物が無断で違法にアップロードされている!」と判断し、法的な手続きに則ってYouTubeに動画の削除を申請した場合に発せられる、非常に重い警告です。
いわば、サッカーでイエローカードを提示されたような状態です。この警告はカウント制で、90日以内に3回の警告を受けると、あなたのチャンネルは永久に停止(BAN)されてしまう可能性があります。
なぜ動画がブロックされる?著作権者が選ぶ3つのアクション
Content IDによってあなたの動画が検出されると、著作権者はその動画に対して、事前に設定しておいたポリシーに基づき、以下のようなアクションを自動的に実行します。
- ブロック
動画を視聴できないようにします。全世界でブロックすることも、特定の国や地域だけでブロックすることも可能です。あなたのケースは、この「一部地域でのブロック」に該当します。 - 収益化
あなたの動画に広告を表示し、その収益を著作権者が受け取ります。場合によっては、あなたと著作権者で収益を分配する(シェアする)ケースもあります。この場合、動画は通常通り公開され、ブロックもされません。 - トラッキング(追跡)
動画をブロックしたり、広告を表示したりはせず、単にその動画がどれくらい再生されているかなどの統計データを収集します。これも動画は通常通り公開されます。
つまり、「一部の地域でブロック」という措置は、著作権者が設定した管理方法の一つに過ぎないのです。
なぜ「ロシア」だけ?特定の国がブロックされる3つの理由
そう思われる方もいるでしょう。
この疑問は、コンテンツビジネスのグローバルな仕組みを理解する上で非常に良いポイントです。
特定の国だけが名指しでブロックされるのには、主に3つの理由が考えられます。
理由1:ライセンス契約の「地域性」(最も一般的な理由)
これが最も多い理由です。
音楽や映像などの著作物を利用するための権利(ライセンス)は、世界共通ではなく、国や地域ごとに個別に契約されています。
例えば、ある日本のアーティストの楽曲を管理するレコード会社が・・・
- 日本国内での利用はOK
- アメリカでの利用もOK
- でも、ロシアの管理団体とは契約を結んでいないので、ロシアでの利用はNG
という契約を結んでいるとします。
この楽曲をあなたの動画がBGMとして使用した場合、Content IDシステムは契約内容を正確に反映し、ロシアからのアクセスだけを自動的にブロックするのです。
これはCDや音楽配信サービスで「国内盤」「輸入盤」があったり、国によって視聴できる映画のラインナップが違ったりするのと同じ理屈です。
理由2:現地の法律や規制への配慮
国によっては、表現やコンテンツに関する独自の法律や規制が存在します。
著作権者が、自社のコンテンツが意図せずそうした現地の法律に抵触してしまうリスクを未然に防ぐため、「念のためこの国では公開しないでおこう」と判断し、ブロック設定をしている場合があります。
理由3:国際情勢や企業方針の影響
近年、特定の国や地域を巡る国際情勢が、企業のビジネス判断に影響を与えるケースが増えています。
今回の「ロシア」というケースでは、これが該当する可能性も考えられます。ウクライナ侵攻ですね。
国際的な情勢を受け、多くのグローバル企業がロシアでの事業を停止したり、サービス提供を制限したりしています。
音楽やエンタメ業界も例外ではなく、欧米の大手レコード会社などが「企業として、ロシアのユーザーにはコンテンツを提供しない」という方針を掲げていることがあります。
この方針がContent IDのポリシーにも適用され、その企業の管理楽曲を含む動画が、一律でロシアではブロックされるという事態が発生しているのです。
どうすればいいの?あなたが今すぐ取るべき4つの選択肢
さて、仕組みが分かったところで、次はいよいよ具体的な対処法です。
まずは慌てずに、YouTube Studioで申し立ての詳細を確認することから始めましょう。
【申し立て内容の確認方法】
- YouTube Studioにログインします。
- 左側のメニューから「コンテンツ」をクリック。
- 該当の動画を探し、「制限」の列に表示されている「著作権」という文字にカーソルを合わせます。
- ポップアップが表示されたら「詳細を表示」をクリック。
この画面で、「どのコンテンツ(楽曲名など)が」「誰から(レコード会社など)」「どのような影響(一部地域でブロックなど)を」受けているのかが一目で分かります。
内容を確認した上で、あなたには以下の4つの選択肢があります。
選択肢1:受け入れる(何もしない)
申し立ての内容に納得しており、その影響が軽微である場合に最も簡単な選択肢です。
例えば、今回のように「ロシアでのみブロック」されていて、ご自身のチャンネルの視聴者がほとんど日本国内である場合、実質的な影響はほぼありません。
この場合は、そのままにしておいても特に問題はありません。
選択肢2:該当箇所を編集する
申し立ての原因となっている部分を、動画から取り除く方法です。YouTubeには、動画を再アップロードしなくても使える便利な編集機能が備わっています。
- セグメントをカット: 該当する部分の動画と音声を丸ごと削除します。
- 曲を差し替える: 著作権フリーの楽曲に差し替えます。
- 曲をミュートする: 該当部分の音声だけを消します。
これらの編集を行うと、申し立ては自動的に取り下げられ、ブロックなどの制限も解除されます。
選択肢3:異議申し立てを行う
「この申し立ては間違っている!」と主張できる正当な理由がある場合は、この選択肢を選びます。具体的には、以下のようなケースが考えられます。
- そもそも申し立てが間違い: システムが類似の全く違う曲を誤検出した。
- ライセンスを所有している: 有料の音楽素材サイトなどで、使用許諾を得て購入した音源である。
- パブリックドメイン: 著作権の保護期間が切れた、誰でも自由に使えるコンテンツである。
- フェアユース: 批評、研究、報道、教育などの目的で公正な利用であると主張できる(※これは非常に専門的な判断を要するため、慎重になる必要があります)。
詳細画面の「操作」メニューから異議申し立てを行うことができますが、虚偽の申し立てはペナルティの対象となる可能性もあるため、明確な根拠がある場合にのみ行いましょう。
選択肢4:収益を分配する(※可能な場合のみ)
これは主に「歌ってみた」などのカバー動画で表示されることがある選択肢です。
楽曲の著作権者と広告収益を分配することを条件に、動画の公開を続けることができます。
すべての楽曲で可能なわけではありませんが、もしこの選択肢が表示された場合は、検討してみるのも良いでしょう。
まとめ
著作権は、クリエイターの権利を守るための大切な仕組みです。
難しく感じられるかもしれませんが、その仕組みを正しく理解すれば、不必要に怖がることはありません。
今回の経験を機に著作権への理解を深め、ルールを尊重しつつ、これからもあなたの素晴らしい動画制作活動を続けていってください。