「大好きなあの配信者に、もっと有益な情報を教えてあげたい!」
「今、別の配信であなたの話題が出ていたよ!と伝えてあげたい!」
ライブ配信を見ていると、そんな風に思う瞬間があるかもしれません。
しかし、その親切心が、実は配信者や他のリスナーを困らせる「鳩コメント」になってしまっている可能性があります。
この記事では、配信の世界で「知っておくべき必須マナー」として定着している「鳩コメント」について、徹底的に解説していきます。
この記事を読めば、あなたも配信コミュニティの一員として、より一層ライブ配信を楽しめるようになるはずです。
鳩コメントの正体とは?
まず、「鳩コメント」が一体何なのかを正確に理解しましょう。
「鳩コメント」とは、あるライブ配信のチャット欄で、その配信とは直接関係のない「外部の情報」を持ち込んでコメントする行為全般を指します。
名前の由来は、遠くの情報を別の場所に運ぶ「伝書鳩(でんしょばと)」です。
ある配信で起きていたことや、SNSの情報などを、まるで鳩のように別の配信へ運んでくる様子から、この名前が付きました。
重要なのは、コメントの内容がポジティブかネガティブかは関係ないということです。
「〇〇さんがあなたのことを褒めていたよ!」という一見ポジティブな内容でも、配信の流れを断ち切る「外部の情報」であることに変わりはなく、鳩コメントと見なされます。
要するに、「今、この場所で話すべきでない、別の場所の話題を持ち込むこと」が鳩コメントの本質なのです。
なぜ鳩コメントは嫌われるのか?5つの深刻な悪影響
鳩コメントが嫌われるのには、配信者、リスナー、そして配信文化全体に悪影響を及ぼす、深刻な理由があります。
1. 配信の「流れ」と「世界観」を破壊する
配信者は、トーク、ゲームプレイ、リアクションなどを通じて、その配信だけの「流れ」や「空気感」を創り出しています。
リスナーはその世界観に没入して楽しんでいます。
そこに突然、全く関係のない情報が投げ込まれると、その流れは断ち切られ、作り上げてきた雰囲気が一瞬で壊れてしまいます。
それはまるで、感動的な映画のクライマックスで、全く関係のない話を大声で始めるようなものです。
2. 配信者に不要なプレッシャーと負担を強いる
「〇〇さんがあなたの話をしてるよ」と言われた配信者は、どう反応すればいいでしょうか?
無視すれば「感じが悪い」と思われるかもしれません。
かといって反応すれば、今やっているゲームや企画が止まってしまいます。
さらに、その話題をどう広げ、どう終わらせるかまで考えなければなりません。
鳩コメントは、配信者にこうした「どうでもいい悩み」と「やらなくていい仕事」を強制する行為なのです。
3. 配信者間のトラブルの火種になる
これが最も深刻な問題かもしれません。
鳩が運んでくる情報は、不正確であったり、文脈が切り取られていたりすることがほとんどです。
例えば、「Aさんがあなたのプレイスタイルを批判していた」という鳩コメントがあったとします。
しかし、実際には「(冗談の文脈で)あのプレイは僕には真似できないな~(笑)」という発言だったかもしれません。
切り取られた情報が誤解を生み、配信者同士の関係を悪化させ、最悪の場合、大きなトラブルに発展するケースも少なくありません。
4. 「今、見ている配信者」への無礼にあたる
あなたが今見ているのは、目の前の配信者のチャンネルです。
その場所で、他の配信者の名前を頻繁に出したり、「〇〇さんの配信が始まった」と宣伝したりする行為は、「あなたの配信より、そっちの方が気になります」と言っているのと同じです。
これは、会話の相手を無視して、別の人の話ばかりするのと同じくらい失礼な行為です。
5. 他のリスナーの視聴体験を阻害する
チャット欄は、配信者とリスナー、そしてリスナー同士がコミュニケーションを楽しむ共有の空間です。
そこに鳩コメントや、それを注意するコメントが溢れると、チャット欄は本来の機能を失い、ただただ荒れた場所になってしまいます。
純粋に配信を楽しみたい他の多くのリスナーにとって、鳩コメントは視聴の妨げになるノイズでしかありません。
これもNG!鳩コメント具体例大全
では、具体的にどのようなコメントが鳩コメントに当たるのか、パターン別に見ていきましょう。
パターン1:伝書鳩(他の配信者の情報を運ぶ)
最も典型的で、最も嫌われるタイプです。
- 「〇〇さんが今、あなたの話をしてますよ!」
- 「△△さんが配信を始めたので、行ってきます!」
- 「□□さんのチャンネル、登録者10万人突破したらしい!」
- 「さっきまで見てた配信者さん、同じゲームで苦戦してましたよ」
これらのコメントは、内容の真偽や善し悪しに関わらず、全てNGです。
パターン2:ネタバレ鳩・指示鳩(ゲームの内容をバラす)
配信者が自分の力でゲームをクリアしようとしているのを妨害する行為です。
配信者の「考える楽しみ」「発見する喜び」を奪ってしまいます。
- (謎解きで詰まっている時に)
「その暗号の答えは『〇〇』です」 - (RPGのストーリー中に)
「そいつがラスボスですよ」「そのキャラは裏切ります」 - (探索中に)
「さっきの部屋に宝箱ありましたよ、戻って!」
配信者が「ヒントください!」と助けを求めている時以外は、過度なヒントや指示は全て鳩コメントの一種と心得ましょう。
パターン3:自分鳩(配信者自身の別情報を持ち出す)
配信者が「今」話していない、過去の発言やSNSでの投稿などを持ち出すタイプです。
「昨日の配信では違うこと言ってましたよね?」「X(旧Twitter)で見ましたけど、例の件どうなりました?」
これらの話題は、配信者が話したいタイミングで自ら切り出すべきものです。
リスナーが無理やり話題を引き出すのは、話の流れを無視した行為になります。
もし鳩コメントを見かけたら?視聴者としてのスマートな対応
もしチャット欄で鳩コメントを見つけても、決して「それは鳩ですよ!」とコメントで指摘してはいけません。
正義感からくる行動かもしれませんが、「鳩警察」と呼ばれるこの行為は、鳩コメントに反応するのと同じくらい、チャット欄を荒らす原因になります。
では、どうすればいいのでしょうか?
正解は2つです。
- 完全にスルー(無視)する
反応がなければ、コメントは自然に流れていきます。荒らしは反応をもらうのが目的です。スルーは最も平和的で効果的な対策です。 - 黙って通報・ブロックする
各配信プラットフォームには、不適切なコメントを報告(通報)する機能があります。配信者やモデレーターが対応しやすくなるよう、静かに通報機能を活用しましょう。
最も良いのは、鳩コメントをかき消すくらい、配信の話題でチャットを盛り上げることです。
楽しいコメントで溢れていれば、少数の不適切なコメントは気にならなくなります。
まとめ
ここまで「鳩コメント」について詳しく解説してきましたが、本質は非常にシンプルです。
それは、「目の前の配信に集中し、その場の空気を読んで、今の話題を楽しむこと」。
鳩コメントは、特定の悪意ある人だけが行うものではありません。
良かれと思ってやったことが、結果的にマナー違反になってしまうこともあります。
だからこそ、この文化を正しく理解しておくことが、配信者にとっても、あなた自身にとっても、より良い視聴体験に繋がります。
配信は、配信者とリスナー全員で作り上げる一つの作品です。ルールを守って、お互いに敬意を払い、最高の時間を共有しましょう!