【YouTube】Vtuber切り抜きって著作権は大丈夫?絶対に守るべきルールと暗黙の了解

 

「好きなVtuberの面白い瞬間を、もっと多くの人に知ってほしい!」

そんな熱い思いから、Vtuberの「切り抜き動画」を作ってみたいけれど、「これって著作権的に大丈夫なの?」と不安に思っていませんか?

 

結論から言うと、Vtuberの切り抜きは、ルールを守らなければ著作権侵害になる可能性が高い、非常にデリケートな行為です。

この記事では、これから切り抜きを始めたいあなたが安心して活動できるよう、「絶対に守るべき公式ルール」と、コミュニティの中で育まれてきた「暗黙の了解」を解説します。

 

 

そもそもVtuberの切り抜きは著作権侵害なの?

HIKAWA
Vtuberの切り抜き動画って、本当は著作権侵害なんじゃないの?

 

まず、大前提として理解しておくべきことがあります。

Vtuberの配信映像は、その配信者(および所属事務所)が著作権を持つ「著作物」です。

したがって、権利者の許諾なく映像をコピーし、編集し、インターネット上で公開する行為は、原則として著作権法における「複製権」や「公衆送信権」の侵害にあたります。

 

 

HIKAWA
「じゃあ、なんでこんなに切り抜き動画がYouTubeにはたくさんあるの?」

 

それは、多くのVtuberや事務所が、「ガイドラインを遵守することを条件に、ファンによる二次創作(切り抜き動画を含む)を黙認・許諾している」からです。

 

切り抜き動画は、Vtuberの魅力を短時間で伝え、新たなファンを獲得するための強力なプロモーションツールになります。

配信を全部見る時間がない人でも、切り抜きをきっかけに「このVtuber面白いな、今度は生配信を見てみよう」と思うことは少なくありません。

 

つまり、切り抜き文化は、権利者側の「宣伝効果への期待」と、ファン側の「応援したい気持ち」という、Win-Winの関係性の上に成り立っている、非常に繊細なバランスの文化なのです。

だからこそ、私たちはその信頼に応えるために、定められたルールを絶対に守る必要があります。

 

 

絶対に守るべき5つの「公式ルール」

これから紹介する5つのルールは、ほとんどのVtuber・事務所で共通している、いわば「切り抜きの憲法」です。

活動を始める前に、必ず頭に叩き込んでください。

 

1. 公式のガイドラインを必ず確認・遵守する

何よりも先に、切り抜きたいVtuberやその所属事務所が定めた二次創作ガイドラインを熟読してください。

ガイドラインは通常、以下の場所に記載されています。

 

  • 所属事務所の公式サイト

  • Vtuber個人のYouTubeチャンネルの概要欄

  • Twitter(X)のプロフィールや関連リンク

 

ガイドラインには、収益化の可否、使用可能なコンテンツの範囲、禁止事項などが具体的に書かれています。

もし「切り抜き動画の投稿は一切禁止」と書かれていれば、残念ですがそれに従うしかありません。

「面倒くさい」と思わずに、まずは公式の見解を確認すること。それが、あなたの活動と推しを守る第一歩です。

 

 

2. 元配信のURLとチャンネル名を必ず明記する

切り抜き動画は、あくまで「元となる配信があってこそ」のコンテンツです。

動画を見た人が、元配信や本人のチャンネルにすぐ飛べるように、必ず以下の情報を記載しましょう。

 

  • 元配信のアーカイブURL

  • 本人のチャンネル名とチャンネルURL

 

記載場所は、動画の「概要欄」が基本です。

さらに親切にするなら、「コメント欄に情報を記載して固定表示する」のも良いでしょう。

これを怠ることは、元配信への導線を断ち、ただコンテンツを”横取り”しているだけと見なされても仕方ありません。

リスペクトの証として、必ず実践してください。

 

 

3. メンバーシップ限定など有料コンテンツは絶対に切り抜かない

YouTubeのチャンネルメンバーシップなどで公開されている「有料会員限定のコンテンツ」を切り抜いて公開することは、絶対的なNG行為です。

これらは、お金を払って応援してくれているファンだけが見られる特別なコンテンツです。

それを無料で誰でも見られる状態にすることは、会員の優越感を損ない、Vtuberの収益源を破壊する裏切り行為に他なりません。

 

発覚した場合、著作権侵害の申し立てだけでなく、コミュニティから厳しい批判を受け、Vtuber本人を深く傷つけることになります。

軽い気持ちで手を出してはいけません。

 

 

4. 収益化はガイドラインで許可されている場合のみ

切り抜き動画で収益を得たいと考える人もいるかもしれません。

しかし、他人の著作物を使って収益を得ることは、非常にデリケートな問題です。

 

  • 原則NGの場合が多い
    例えば、ファンによる切り抜き動画の収益化を原則として認めていない事務所もあります。これは、権利者でない第三者が直接的な利益を得ることを問題視しているためです。

  • 条件付きでOKの場合もある
    その一方で、一定の条件下で収益化を許容している事務所もあります。しかし、これもルールが変更される可能性があるため、常に最新のガイドラインを確認することが不可欠です。

 

「ガイドラインのどこにも”切り抜き動画の収益化OK”と書かれていない」場合は、収益化をしてはいけないということです。

無許可での収益化は、著作権侵害の申し立て(コンテンツIDの申し立てや著作権侵害の警告)を受けるリスクが非常に高くなります。

 

 

5. 歌枠・同時視聴配信の扱いには細心の注意を払う

一見すると普通の配信と同じに見えますが、「歌枠」と「映画などの同時視聴配信」は、権利関係がさらに複雑になります。

  • 歌枠
    Vtuber本人だけでなく、楽曲そのものにも作詞家・作曲家・音楽出版社などの著作権が存在します。JASRACなどの管理団体が権利を持つ楽曲の場合、YouTubeのシステム(Content ID)によって自動的に広告が表示されたり、最悪の場合ブロックされたりすることがあります。事務所によっては「歌枠の切り抜きは禁止」と明記している場合もあるため、特に注意が必要です。

  • 同時視聴配信
    Vtuberが映画やアニメを見ながらリアクションする配信です。この場合、切り抜き動画に映画やアニメの映像・音声を載せることは絶対にNGです。これはVtuberの著作権だけでなく、その映像作品の著作権をも侵害する「二重の権利侵害」になります。切り抜いて良いのは、Vtuberの音声や表情、ゲーム画面など、本人が権利を持つ部分のみです。

 

 

ルールだけじゃない!愛ある切り抜きのための「暗黙の了解」

公式ルールを守るのは大前提ですが、ファンコミュニティの一員として、さらに一歩進んだ配慮をすることで、より歓迎される切り抜き師になることができます。

これらは「暗黙の了解」とも言える、マナーやエチケットです。

 

1. 悪意のある編集や、文脈を無視した切り取りはしない

切り抜き動画は、編集次第で発言の意図が全く変わってしまう危険性をはらんでいます。

 

  • 発言の一部だけを抜き出して、本来の意図と違う印象を与える

  • わざと炎上を煽るようなサムネイルやタイトルをつける

  • 他の配信者を貶めるような内容にする

 

このような行為は、Vtuberのイメージを著しく傷つける、最も嫌われる行為です。

切り抜きは、Vtuberの魅力を伝えるためのもの。

「面白い部分を切り抜く」ことと「悪意を持って編集する」ことは全く違います。

常にリスペクトの気持ちを忘れないでください。

 

 

2. 単なる無断転載ではなく、付加価値をつける

元配信をただブツ切りにしてアップロードしただけでは、価値のある切り抜きとは言えません。

視聴者が見やすいように、また面白さが伝わるように、あなたなりの「付加価値」を加えましょう。

 

  • テロップ(字幕)をつける: 聞き取りにくい部分を補ったり、面白い発言を強調したりできます。

  • 翻訳をつける: 海外のファン向けに、日本語の会話に英語字幕をつけるのは非常に喜ばれます。

  • 効果音や簡単な編集: 話のテンポを良くしたり、面白さを際立たせる効果音を入れたりする。

  • 秀逸なタイトル: 動画の内容が一目でわかり、クリックしたくなるような魅力的なタイトルを考える。

 

こうした一手間が、あなたの切り抜き動画を「ただの転載」から「価値のある二次創作」へと昇華させます。

 

 

3. 配信が終わってアーカイブが公開されてから投稿する

生配信の最中にリアルタイムで切り抜きをアップロードする人がいますが、これは推奨されません。

なぜなら、YouTubeのシステム上、「先にアップした切り抜き動画が本家で、まだアーカイブ化されていない本配信の方がパクリ動画」と判断されてしまう可能性があるからです。

 

また、配信直後は、本人が「今の発言はまずかったかな」と考えて一部をカットしたり、非公開にしたりする可能性もあります。

Vtuber本人による最終確認が終わった「アーカイブが正式に公開されてから」切り抜くのが、最も安全で丁寧なマナーです。

 

 

4. デリケートな話題の扱いは慎重に

配信者が時に、自身のプライベートな悩みや、少しナイーブな話題に触れることがあります。

そうした部分を切り抜く際は、細心の注意が必要です。

本人が意図しない形で拡散され、心を痛める結果になるかもしれません。

 

「これは切り抜くべきか?」と迷ったら、一度立ち止まって考えてみてください。

そのVtuberのためになるか、ファンは本当にそれを望んでいるか。自信がなければ、無理に切り抜かないという判断も、また一つの「愛」です。

 

 

まとめ

Vtuberの切り抜き動画は、著作権という観点から見れば非常にグレーな領域にありますが、多くのVtuber・事務所の好意と、ファンたちの良識によって成り立っている素晴らしい文化です。

「切り抜き動画を作りたい」というあなたのその気持ちは、間違いなくVtuberへの「愛」から生まれているはずです。

その愛を、正しい形で表現し、Vtuberとファン、そして切り抜き師であるあなた自身も幸せになれるような、素敵な切り抜き活動を始めてみましょう!