いつも見ている大好きなVTuberさん、キラキラした高画質な配信の裏には、高性能なパソコンやマイク、たくさんのゲームソフトがありますよね。
そんな時、ふとこんな風に思ったことはありませんか?
「VTuberって、活動で使うものは”経費”で買うから、実質タダなのかな?」 「会社員の友達が出張費を会社から貰ってたけど、あれと同じ感じ?」
その気持ち、すごくよく分かります!「経費」という言葉はよく聞くけれど、その実態は謎に包まれていますよね。
結論から言うと、VTuberさんのパソコンや機材は、残念ながらタダではありません。
そして、会社員が会社の出張費を負担しないのとは、全く仕組みが違うのです。
今回は、そんな視聴者さんの素朴な疑問に答えるべく、VTuberと「経費」の気になる関係を、どこよりも分かりやすく解説していきます!
「経費で落ちる」≠「タダになる」という衝撃の事実
多くの人が誤解している最大のポイントが、この「経費=タダ」というイメージです。
私たち視聴者から見えるVTuberさんは、個人で活動している「個人事業主」にあたります。
個人事業主にとっての「経費」とは、「税金を計算するときに、売上から差し引くことができるお金」のこと。
…と言っても、ちょっと難しいですよね。
もっと簡単な例で見てみましょう。
VTuberのお財布をのぞいてみよう!
仮に、あるVTuberさんの1年間の売上(スパチャやグッズ収益など)が300万円だったとします。
【ケース①:経費を全く使わなかった場合】
- 売上:300万円
- 経費:0円
- 税金の計算対象になる金額:300万円
この場合、丸々300万円という金額に対して税金が計算されます。
【ケース②:活動のために20万円のパソコンを買った場合】
- 売上:300万円
- 経費:20万円
- 税金の計算対象になる金額:280万円 (300万円 – 20万円)
ケース②では、パソコン代の20万円を「経費」として売上から差し引いた結果、税金の計算対象が280万円に減りました。
計算のもとになる金額が減ったので、最終的に支払う税金が安くなるのです。
これが、VTuberにとっての「経費」の正体です。
20万円のパソコン代が誰かから返ってくるわけでは決してなく、「パソコンを買ったおかげで、ちょっとだけ税金が安くなった」というのが現実。
いわば、税金の割引クーポンを使ったような状態なのです。
パソコン代は、間違いなくVTuberさん自身のお財布から支払われています。
じゃあ、会社員の「経費はタダ」って何なの?
この疑問が生まれるのは当然です。
それは、会社員とVTuberとでは、お財布の持ち主が違うからです。
- 会社員の場合 → 使うのは「会社のお財布」のお金
会社員が使う出張費や接待費は、あくまで「会社」の仕事のために必要なお金です。社員が一時的に支払っても(立て替え払い)、後で領収書を提出すれば、会社が全額を返金してくれます(経費精算)。社員個人のお財布は、1円も痛みません。だから「タダ」になるのです。
- VTuberの場合 → 使うのは「自分のお財布」のお金
VTuberは、自分自身が社長であり会社です。活動のために使ったお金を返してくれる人はいません。自分のお財布から支払った上で、「これは仕事で使ったお金ですよ」と申告することで、税金の割引を受ける権利を得るのです。
お財布の持ち主が「会社」なのか「自分」なのか。
この決定的な違いが、「タダになる人」と「ならない人」を分けているのです。
「じゃあVTuberは何でも経費にできるの?」という疑問
これも気になるポイントですよね。
答えは「No」です。
経費として認められるための大原則は、「そのVTuberの事業(配信活動など)で、収益を上げるために必要な支出か?」という点です。
例えば…
- OKになりやすいもの
- ゲーム実況で使うゲームソフト代
- 高性能なパソコンやマイク
- 動画編集ソフトの利用料
- ママ(イラストレーター)への新しい衣装の依頼料
- 配信画面で使うBGMや効果音の購入費
- NGになりやすいもの
- 配信とは全く関係なく、プライベートで遊ぶだけのゲーム
- 友達と遊びに行くための交通費
- 配信と関係なく、普段自分が食べるだけのランチ代やお菓子代
- 活動と関係ない洋服や化粧品
このように、「ゲーム実況をするからゲームを買う」のはOKですが、「プライベートで遊びたいからゲームを買う」のはNGです。
その支出が「仕事のため」と胸を張って言えるかどうかが重要なラインになります。
税務署に「この支出は、どうしてあなたの収益UPに必要なのですか?」と聞かれたときに、きちんと説明できるものでなければならないのです。
まとめ
今回は、視聴者さんが抱きやすい「経費」に関する疑問を解説してみました。
- VTuberさんの経費は「タダ」ではなく、「税金の割引」であること。
- 会社員が経費をタダにできるのは、「会社のお財布」を使っているから。
- VTuberさんは、仕事に必要なものしか経費にできないこと。
この事実を知ると、推しのVTuberさんが使っているパソコンやマイク、企画のために用意した様々なグッズが、決してタダで手に入れたものではなく、すべてVTuberさん自身の「投資」であることが見えてくるのではないでしょうか。
私たちが楽しんでいる日々の配信一本一本が、VTuberさん自身のしっかりとした金銭管理と、活動への真摯な投資の上に成り立っているのです。
この裏側を知ることで、いつものスパチャやメンバーシップが、単なる「応援」だけでなく、推しの未来への「投資」を支える、より価値ある一票に見えてくるかもしれませんね。