あなたが応援しているVTuberや配信者の界隈で、「義務ソロ配信」という言葉を見聞きしたことはありませんか?
誕生日やデビュー周年記念といったおめでたいイベントが近づくと、決まってこの言葉が匿名掲示板やSNSの一部で囁かれます。
「ファンサービスの一環でしょ?」と好意的に捉えることもできますが、多くの場合、この言葉は配信者への皮肉や批判といったネガティブなニュアンスで使われているのが実情です。
「義務ソロ配信」とは?
「義務ソロ配信」とは、誕生日や周年記念などのイベントを前に、記念グッズの販売告知や新衣装のお披露目など、特定の目的を持って行われるソロ配信を指します。
配信者にとっては、ファンへの感謝を伝え、イベントを最大限に盛り上げるための重要な配信です。
ファンの中にも「待ってました!」と好意的に受け止める人はもちろんたくさんいます。
しかし、その一方で、この配信を冷ややかな目で見ている視聴者がいるのもまた事実。
彼らは、この配信を「義務」という言葉で揶揄するのです。
「義務ソロ配信」がネガティブに使われる4つの理由
では、なぜおめでたいはずの告知配信が「義務」とまで言われてしまうのでしょうか。
そこには、視聴者が抱くいくつかの感情が関係しています。
理由1:「あからさまな集金配信」への冷ややかな視線
最も大きな理由が、配信内容が「ビジネスライクすぎる」と受け取られてしまうことです。
誕生日や記念日が近づくと、記念グッズの販売、ボイスの発売、スーパーチャットのお礼など、どうしてもお金にまつわる話題が中心になりがちです。
もちろん、配信者の活動を支える上で収益化は不可欠であり、ファンもそれを理解しています。
しかし、配信の大部分が宣伝文句の繰り返しだったり、あからさまに高額なスーパーチャットを期待するような言動が見えたりすると、視聴者の一部はこう感じてしまいます。
「これって、ファンのためじゃなくて、自分のお金のためにやってるだけじゃない?」
この「ファンサービス」という建前と、「ビジネス」という本音のギャップを感じ取ったとき、「愛情」は「義務」という冷ややかな言葉に姿を変えてしまうのです。
理由2:配信から透ける「やらされ感」への失望
視聴者は、配信者に「楽しさ」や「情熱」を求めています。
ゲームを心から楽しむ姿や、雑談に夢中になる姿に魅力を感じ、応援したいと思うのです。
しかし、「義務ソロ配信」と揶揶揄される配信では、配信者自身から楽しさが感じられず、まるで仕事のノルマをこなしているかのような「やらされ感」が透けて見えることがあります。
- 台本をただ読み上げているような単調な進行
- コメントへの反応が薄く、どこか上の空
- 早く終わらせたそうな雰囲気
こうした空気感を敏感に察知した視聴者は、「今日の配信、いつもの元気がないな…」「もしかして、本当はやりたくないのかな?」と失望してしまいます。
「義務」という言葉は、この配信者の楽しんでいない雰囲気を的確に表現する言葉として使われてしまうのです。
理由3:マンネリ化した内容への「つまらない」という本音
誕生日、ハーフアニバーサリー、チャンネル登録者数記念…。
VTuberや配信者には、祝うべき記念日がたくさんあります。
それは非常に喜ばしいことですが、そのたびに告知メインのソロ配信が繰り返されると、視聴者の中には「またこの内容か…」というマンネリ感を抱く人も出てきます。
普段のゲーム実況や企画配信が非常に面白い配信者であればあるほど、そのギャップは大きくなります。
「コラボで見せる面白い姿はどこへ?」「告知だけなら動画で十分なのに…」という不満が、「義務ソロ配信」という批判的な言葉につながっていくのです。
理由4:「コラボばかり」への不満をなだめるためのソロ
これは、特に普段からコラボ配信を中心に活動している配信者に対して使われるニュアンスです。
コラボ配信には複数人での掛け合いの面白さがありますが、一方で「推しと他の配信者の絡みは見たくない」「一人の声がじっくり聞きたい」と考える「ソロ配信派」のファンも一定数存在します。
そうしたファンからの「最近コラボばっかりで寂しい」「たまには一人で配信してほしい」という声に応える形で、ガス抜きのようにソロ配信を行うことがあります。
しかし、そのソロ配信が結局は記念グッズの告知がメインだったりすると、「ソロを求めるファンへのアリバイ作りのために、仕方なくやっているだけでは?」と見なされてしまうのです。
「ソロをやってほしいというファンの声に応える」というより、「ソロをやらないことへの不満を黙らせる」という義務感が透けて見える、と視聴者は感じ取ってしまいます。
まとめ
「義務ソロ配信」という言葉は、一見すると単なる悪口や批判のように聞こえるかもしれません。
しかし、その言葉の裏側には、「もっと楽しませてほしい」「ビジネスライクな姿だけじゃなく、いつものあなたが見たい」「つまらないと感じて寂しい」といった、ファンだからこその複雑な期待や願いが隠れている場合もあります。
もちろん、配信者も活動を続けるためには、告知や収益化は避けて通れません。
もしあなたが応援している配信者の配信を見て「義務っぽいな」と感じてしまったなら、それはなぜなのか、自分は配信者に何を期待しているのかを一度考えてみるのもいいかもしれません。
そして配信者と視聴者が互いに歩み寄ることで、「義務」と揶揄される配信が、心から「ありがとう」と言えるような素晴らしい記念配信に変わっていくのではないでしょうか。